銘仙と紅裏

四季のある日本には季節の変わり目もやってきます。
只今、秋に向けて自然界も人間の身体も変化しています。

「季節の変わり目にはからだの疲れが出やすい」
祖母の言葉です。

明治生まれのしっかり者、98歳の天寿を全うした祖母は
自然の流れを感じ取っていたのかもしれません。

今のようにお薬や医学の情報があふれていない時代。

胃が重たくなったら庭のドクダミの葉を煎じたり、
女性の身体は冷やさないほうが良いと言って、
庭のヨモギの葉を煎じたり。

祖母はいつも着物姿でした。
当時は着物の下に着る長じゅばんの裏は絹の紅色。
紅裏(もみうら)といいまして、
女性の身体を暖める効果もあったそうです。

以前、着物地からお仕立て服制作のお仕事をしていましたとき
「銘仙(めいせん)」の着物からキルト裏付きのコートを何着も制作しました。
お客様お持ちの長襦袢の裏は紅裏をほどいてコートの裏に使いました。
銘仙独特の柄には紅裏の真っ赤な裏地は良く似合います。

風が吹くと、コートの前身ごろは「横」になびき、
その下からは真っ赤なシルクが見えます。とても綺麗です。
着ながら上から見下ろす風景?も楽しめます♪

絹は女性のからだをいたわってくれます174.png



by krinrinka | 2017-09-29 06:49 | おばあちゃんのお話  

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